あのね、先生。
「あのとき俺が見たものをそのまま描いたんだ。俺ね、ほんとに今でも思い出せんの。すげー綺麗だって思ったから」
先生の言うとおり、すごく綺麗だった。
あのときの光景が、先生の目にはこう映ってたんだって思うと胸がキュッとなる。
「あのときからずっと、俺は茉央ちゃんじゃなきゃダメなんだよね」
困ったようにふにゃんと笑った。
あたし、こんなに幸せでいいの?
この言葉の続きを聞いてもいいの?
「いっぱい泣かせてごめんね」
先生の隣にいてもいいの?
涙を拭ってくれるこの優しい手をとって、幸せになってもいいのかな。
「もう絶対悲しい思いはさせない。誰よりも幸せにする。だから…」
先生、あたしもう幸せだよ。
だって、先生の隣にいられるんでしょ?
それだけでね、幸せなの。