あのね、先生。

単純だって思うかもしれないけど、あたしの1番の願いが叶うんだから、こんなに嬉しいことはないよ。


「俺と付き合ってください」


あたしの大好きな笑顔で、あたしの欲しかった言葉を言ってくれる。

それだけで十分だから。

目の前にいる先生に勢いよく抱きつくと、それをしっかり受け止めて抱きしめてくれる。


「ずっと、あたしだけ見てくれる?」

「もう茉央ちゃんしか見えないね」

「もう離さない?」

「絶対、離さない」

「…あたしだけの先生?」

「んふふ、うん、もうずっと茉央ちゃんだけの篠原蓮だよ」

先生はギュッと抱きしめる力を強くして、あたしの髪をクシュクシュと撫でた。


「好き」

「あたしも、好き」


抱きしめる力が弱まって少し離れると、額同士がコツンとぶつかった。

そのまま唇が近づいて、あたしも先生も自然と目を閉じた。
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