あのね、先生。
じゃあ呼んで、と言わんばかりの笑顔であたしを見るから、もう呼ばないわけにはいかない。
「……蓮…くん…?」
「うん、今度からそう呼んでね」
「…うん、分かった」
何だか照れくさいような、少しさみしいような気持ちになった。きっと色んなことから卒業していってるから。
だけど、嫌じゃない。
名前で呼ぶこともそうだけど、やっぱり少し大人になった気がして、先生に近づけたような気がして嬉しいから。
「んふふ、よかった。そうだ、卒業して大人になった茉央ちゃんにプレゼント」
「なに?」
スーツのポケットから長細い箱を取り出した先生は、それをあたしに渡した。
「これ…」
箱を開けると、大人っぽい綺麗なネックレスがキラキラと光ってた。
「俺こういうの買うの初めてだから、気に入らなかったらごめんね。でも、茉央ちゃんに似合うと思ったからこれにしたんだ」
「…すごく、綺麗」
気に入らないわけない。先生があたしのために選んでくれたってだけで、それはあたしにとって特別なものなんだから。