あのね、先生。
蓮くん side
今日もいつもと変わらず賑やかな女の子達に引き止められて、部活に遅れて美術部員に「また?」なんて言われた。
それももう慣れてしまって、当たり前のように過ぎていってしまう。
…前はもっと、楽しくなかったっけ?
いつからこんなことを思うようになったんだろう。
こうして美術準備室に1人で残って仕事をしてると、自然と思い出すのはやっぱり彼女のことだった。
「…どこだっけ…」
どこだっけ、なんて口先だけで、ほんとはどこにしまったか覚えてる。
忘れるはずないんだ。
すごく、大事なものだから。
【先生のことが大好きでした】
綺麗な字が並んでいた。
見覚えのある、整った字。
名前がなくても、これを書いたのが誰かすぐに分かってしまった。
花束とメッセージカードだけで済ませてしまった俺に、彼女はどうしても伝えたかったんだろう。