あのね、先生。
…ほんとは少し期待してた。
あの花であることの意味に気づいてくれないかなって。
…そんな可能性の低いこと、茉央ちゃんが気づかなくて当然だよ。
「スターチス、だっけ…」
茉央ちゃんへの花束を買いに行った時、たまたまその花屋にスターチスが置いてあった。
小さな花だったし、何より卒業生に渡すには地味すぎた。だから選ぶつもりなんてなかったのに。
【スターチス】
そう書かれたプレートの端の方に、小さな字で書いてあったんだ。
″花言葉…変わらぬ心 永遠に変わらない″
それを見て、相応しくないと分かっていながら選んでしまった。
気持ちは変わってない。
むしろ、大きくなる一方で、忘れ方を教えてほしかった。