あのね、先生。

このメッセージカードの存在はユータにさえも言ってない。

茉央ちゃんに花束をあげたことも、メッセージカードをあげたことも。

他の誰かが知っているとすれば、茉央ちゃんの口から誰かに言ったか、それを見られたか。

…もしかしたら、加地くんは知ってるのかもしれない。


そうだったら尚更、茉央ちゃんに会うことはできない。

加地くんは多分、今の俺の気持ちを知ってるはずだから。

自分から手放したくせに、今さら追いかけるなんてことが許されるはずがない。

…そんなこと、誰に言われなくても自分が一番よく分かってる。


このままここに1人でいるとこんなことしか考えれなくて、メッセージカードをしまって部屋を出た。

少しだけ休憩して、また戻ろう。

そうすれば、いつも通り出来るはず。

…だって俺は、茉央ちゃんが卒業してずっとそうしてきたんだから。
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