あのね、先生。

「お、白城」

嬉しそうに手をブンブン振る白城くんと、それを呆れながら見る高橋さんがいた。

2人を見つけて、少し心臓の動きが速くなったのは多分、茉央ちゃんも来てるんじゃないかって思ったから。

…来るわけないか。

俺がいるって知っておきながら、何もなかった顔で来れるような子じゃない。


「蓮くんもいるじゃん!何、サボり?」

俺を見つけた2人は一瞬躊躇うように言葉を詰まらせたけど、近寄ってきて笑顔で話しかけてくれる。

気を遣わせるのは悪いと思って立ち上がるけど、高橋さんに「どこ行くんですか」なんて言われてまた座る。

「サボりじゃねぇわ、ちょっと休憩してんだよ。お前らこそ、卒業式ぶりだよな。どうした?」

「そっか、もうそんなに経つんだ。いやー、2人とも久しぶり!」

相変わらず元気な白城くんだったけど、外見はあの頃と変わった。

すごく大人っぽくなった気がする。
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