あのね、先生。

「じゃあ俺ら帰る。言っとくけど、うちの大学通ってるここの卒業生はみんな中村さんと蓮くんが来るって思ってるから」

だから絶対来い。

そう言ってるように聞こえた。

多分白城くんもそういうつもりで言ったんだと思う。悪戯っ子みたいな顔で笑って帰っていった。


「どうしますか?」

「…俺は行けないです」

「行かないんですか?」

「それが正解だと思いません?正直、会って普通に話せる自信ないですから」

それに、加地くんに会ってどんな顔をすればいいか分からない。

もしも俺に会う気があったら、多分ここに一度も来ないなんてことはない。

会いたくないからここに来ないんだ。


「会いたくないんですか?」

「…会いたいって言ったら、会いに行ってもいいんですか?」

俺の意思だけで動けば、誰よりも傷つくのは茉央ちゃんだってことは考えなくても分かる。

「俺はいいと思いますけど」

「え?」
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