あのね、先生。

「すいません」

「え…優真?」

店員さんを呼んで、あたしがさっき指差したケーキを注文していく。

明らかに2人じゃ食べられない量。

箱詰めされていくケーキの中には、数本のロウソクも一緒に入れられた。


「ほら、帰ろ」

「んふふ、うん」

ケーキの箱を持ったのとは逆の手であたしの手をキュッと掴んで歩き出した。

…あれから、優真とスターチスの話も先生の話もしてない。

ずっと聞きたいとは思ってるけど、あのとき謝った優真の声が頭から離れない。

あんなに弱々しい声を聞いたのは、卒業式の日以来だった。あの日から優真はずっとあたしの隣にいる。

それなのに、もしかしたら今でも不安なのかもしれない。

…だから先生の話をしない。
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