あのね、先生。
「全然太ってねーから」
「優真が言うと説得力ないんだよー」
ガリガリってわけじゃない。
ちゃんと男の人って体格してるけど、スタイルいいから隣に並ぶあたしはちょっとでも痩せなきゃ。
「俺が持ち上げられる範囲なら全然いい。つーか、茉央ならまだ余裕で持ち上げれるから」
「んふふ、持ち上げるの?」
「機会があったら」
「あはは、何それっ」
寝転んだ優真の髪を触ると、気持ちよさそうに目を閉じた。
「寝ちゃいそうだね」
「バカ、寝るわけないじゃん」
「いいよ、寝ても」
ふと時計を見ると、もうあと5分もしないうちに日付が変わる。
「もうすぐ茉央20歳じゃん」
「そうだよ、もうあと3分」
いつもはDVDを見たりして過ごすけど、今日ばかりはテレビもつけてない。
カチ、カチ、と時計の針が進む音が部屋に響いていた。