あのね、先生。

シロ side

とっさに誘ってしまったのは俺だし、あの時何を考えていたかと聞かれれば、何も考えてなかったっていうのが一番妥当な答えだと思う。

｢再来週だけど、どうするの？｣

隣を歩く高橋が呆れたようにため息をついてそう言った。

再来週は俺らの大学の学祭がある。


｢どうするっつったって……｣

中村さんを学祭に誘いに行ったあの日、そこには蓮くんもいて。

別に誘わないのが申し訳ないとか、そんな風に思ったわけじゃない。

でもなぜか強引に約束を取り付けてしまって、後々考えると何であんなこと言ったんだろうって。


｢あたしは何か考えがあって誘ったんだと思ったから何も口出ししなかったんだけど。まさか何も考えてなかったなんて思わないじゃない｣

｢…俺もよく分かんねぇ。何であんなに強引に約束したんだろ｣

俺の言葉に高橋はまた呆れたように大きくため息をついた。