あのね、先生。
高橋はスッキリした顔で歩き出す。
賑わう校内には懐かしい制服の生徒や、俺らの時みたいに仮装してる生徒がたくさんいた。
みんな、あの頃の俺らみたいに楽しそうに笑ってて。素直に戻りたいと思った。
「ねぇ、白城くん」
「ん?」
「ずっと悩んでるのは茉央と先生と加地くんだけじゃないでしょ?」
学生の時の話を、4人で笑って出来ないことが寂しいんだ。
加地が来る前の話とか、加地が来てからの体育祭の話とか、楽しかったことはたくさんあったはずなのに。
「白城くんもあたしも、もう十分すぎるくらい悩んだよ。悩んだ結果がこうなっただけなんだよ」
もとに戻ればいい。
「それで白城くんのことを責める人がいたら、あたしが怒ってあげる」