あのね、先生。

これにしようと選んで、綺麗に包んでもらっているときにふと思い出した。

誰が言っていたかも思い出せないような、ほんとかどうかもよく分からない内容の話だった。

ネックレスをプレゼントする男は独占欲が強い、って。

それを聞いたときはそんなに深く考えなかったし、だから何だって思ったし。もちろん自分には関係ないと思った。


「つーかさ、茉央この前さんざんケーキ食ったじゃん。」

「あー、不思議だよね。そのときはいらないって思ってても、時間が経つとまた食べたくなっちゃうの」


…だけど、こうして茉央の誕生日プレゼントにネックレスを選んだ自分に、それはピッタリ当てはまる気がした。

自分のものだというシルシが欲しかったのかもしれない。

…もう関係ないはずなのに、俺が無意識に対抗心を燃やしてるのはなぜかいつでも蓮くんで。

茉央は蓮くんのものじゃなくて、俺のなんだって。ネックレスを見るたびにそう思えた。

< 68 / 328 >

この作品をシェア

pagetop