あのね、先生。
これにしようと選んで、綺麗に包んでもらっているときにふと思い出した。
誰が言っていたかも思い出せないような、ほんとかどうかもよく分からない内容の話だった。
ネックレスをプレゼントする男は独占欲が強い、って。
それを聞いたときはそんなに深く考えなかったし、だから何だって思ったし。もちろん自分には関係ないと思った。
「つーかさ、茉央この前さんざんケーキ食ったじゃん。」
「あー、不思議だよね。そのときはいらないって思ってても、時間が経つとまた食べたくなっちゃうの」
…だけど、こうして茉央の誕生日プレゼントにネックレスを選んだ自分に、それはピッタリ当てはまる気がした。
自分のものだというシルシが欲しかったのかもしれない。
…もう関係ないはずなのに、俺が無意識に対抗心を燃やしてるのはなぜかいつでも蓮くんで。
茉央は蓮くんのものじゃなくて、俺のなんだって。ネックレスを見るたびにそう思えた。