あのね、先生。
「今日は何食べようかなー」
「こういうのって普通学祭が終わってご褒美で行くんじゃねぇの?」
「いいの!ケーキ食べてこれから頑張るんだから、全然いいの!」
いつまでも蓮くんを気にしてるのは茉央よりも俺の方なのかもしれない。
だから不安にもなる。
「終わってからも行けばいいじゃん」
「え…それあり?」
「何、それはなしなわけ?」
「あり!じゃあ終わったらご褒美ね」
蓮くんの話題を出さないのは、茉央の反応を見るのが怖いから。
多分、平気な顔で話が出来るってことはないと思う。
そんな顔を見てしまったら、俺が傍にいたはずなのに、もう蓮くんには勝てないと思ってしまいそうだから。
だからもう少しだけ。
茉央から蓮くんの話が出来るようになるまで、俺からはその話はしない。