あのね、先生。

「今年は学祭一緒に回ろうな」

「うん、今年はちょっと余裕ありそうだしね。中村さんも来るんでしょ?」

「あー、白城が言ってたな」

「久しぶりだなー…」


卒業式の日、茉央の手に握られていた小さなピンクの花のことを、俺はずっと前から知ってた。

親戚がやってる花屋で見かけてたから、もうほんと、見てすぐに分かったくらい。

…叔母ちゃんがよく教えてくれてた花言葉も、たいして考えなくても頭に浮かんできたんだ。

だから、蓮くんがどういうつもりでそれを選んだのかも分かった。


「…ずっと会ってないもんな」

「卒業式の日以来だよね」

「うわ、そんな経つんだ」

…茉央がスターチスの花言葉を知らなくてよかった。

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