あのね、先生。
知ってたら多分、あのとき俺のとこには戻ってこなかったから。
…だけど、一度聞かれた。
″スターチスって知ってる?″って。
やばい、って思った。
茉央にとってあの花は蓮くんがくれた卒業を祝う花だったはずなのに、多分あのときにそれは変わってしまった。
何がきっかけなのか俺には分からないけど、あの花がスターチスだったってことを知って。
…そのうえ、スターチスの花言葉まで知ってしまったんだろう。
そんなこと聞かなくても分かるくらい、茉央の目は揺れてて。俺を見てるはずなのに見てなかった。
「白城と高橋、高校の文化祭行ってきたって言ってたよな」
「うん、言ってたね」
「…楽しそうだったからさ、いつか一緒に行こうな」
「…うん、いつかね」