あのね、先生。

それでも、そう分かっていても自然と姿を探してしまうんだ。

あたしに会いに来たわけじゃないってちゃんと分かってるのに、少しだけ期待してしまった。


「…も、最低…」

足の力が抜けて、その場に座り込んでしまった。

優真の声は聞こえてたのに、聞こえてないふりをした。優真よりも、彼を優先してしまった。

あれだけ抑えていたのに、最低だ。

戻らなきゃ。

聞こえなかったの、ごめんね。って笑って言わなきゃ。

……まだ、戻れる。


グッと足に力を入れて立ち上がる。

少しだけ立ち止まって落ち着こうとするけど、正直優真の目を見て喋ることなんて出来ない気がした。

それでも、歩き出した。
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