あのね、先生。

忘れられるわけなかった。だって先生はずっとずっと、誰よりも好きな人だから。

…それは今も変わらないの。


「俺のこと、探してた…?」

不安気に聞いてくる先生の目には、泣きじゃくるブサイクなあたしが映ってた。

先生のことずっと探してた。少しでもいいから姿を見たいって思ってた。

でもやっぱりね、先生に会うと抑えが効かなくて、自分の手で積み上げてきたものを壊してしまいそうな気がして怖いよ。


「先生…ずるいよ…っ」

「…ん、ごめんね」

「ずるい…っ」

先生のシャツの胸元をキュッと掴んで顔を隠すと、遠慮がちに背中に手が回った。


「…ごめん。」

あやすようにポンポンと背中を叩いて、大事なものに触れるように、あたしの頬を両手で包んだ。

「…俺どこにいても何してても、気抜いたら茉央ちゃんのことしか考えてないの」

バカみたいでしょ。なんて言って、困ったように笑った。まだ零れ続ける涙を優しく拭う。
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