あのね、先生。

｢え…｣

頬に当たったのを境に、突然ザーッという音と共に降り始めた雨。

｢わ、やべ｣

さっきまで晴れてたはずの空はどんよりと淀んでいて、あっという間にあたしと先生の体を濡らしていった。


｢茉央ちゃん、ごめん｣

｢先生…？｣

先生はあたしの手を力強く掴んで、走り出した。校舎から離れていく。

｢せんせ…っ｣

突然のことで頭がついていかないけど、抵抗することも出来た。

…それなのに、しなかった。

ただ力強くあたしを引っ張ってくれるこの人に、ついて行きたかった。

どこに行くかなんて関係ない。


…連れ出してくれるなら、それでいい。

何も考えられないくらい、強引に連れて行ってほしかったんだ。