あのね、先生。
蓮くん side
突然の雨で、何も持ち合わせてなかった俺らは案の定水をかぶったみたいに濡れてしまった。
どこかで雨宿り、なんて考えたりもしたけど、正直茉央ちゃんをこの格好のままにしておくのはすごく嫌だった。
まだ6月で、薄着だから濡れればどうなるかなんて見なくたってわかる。
…そんな状況で、大学にそのままいるわけにもいかなかった。
「せんせ…、どこ行くの?」
半ば強引に茉央ちゃんの手を引くから、彼女は不安気に俺を見つめる。
俺は茉央ちゃんの家がどこにあるかなんて知らないし、ユータの家はこの辺だけど茉央ちゃんを連れて行くわけにはいかない。
すごく悩んだけど、考えて最終的にたどり着くのが俺の家しかなくて。
「…ここ、俺の家」
「え…?」
別に変な意味で連れてきたわけじゃないけど、茉央ちゃんの目を見て言うことは出来なかった。