だから、好きだって言ってんだよ


わけがわからないままひと気のない壁際に追いやられ、ジリジリ迫り来る陽平の真剣な顔を見つめる。



心の中を見透かすようなまっすぐな視線に、なぜだか目が離せなくて吸い込まれそうになった。



拒否したくても、今の陽平を見ているとそれも出来なくて。


鼓動がどんどん早く大きくなっていく。



ーートンッ



ついに背中が壁に当たってしまい、逃げ場を失った。


や、やだ。


なんなの?


本当にわけわかんない。



「愛梨って、マジでバカだよな」



目の前には陽平のドアップ。


不機嫌な声だけど、至近距離にいるせいか色気があるように聞こえて。


ドキドキと胸が高鳴る。


ありえない。


陽平にドキドキするなんて。


ふわふわの髪が頬に当たった。



ビックリして目を見開いた瞬間。



「んっ……」



唇に何かが触れる感触がした。


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