だから、好きだって言ってんだよ


……ダメだ。


今は冷静に考えられない。


あんなことをされた後だもん。


普通じゃ……いられないよ。



カバンからスマホを取り出して、まりあにかけた。



「愛梨?今どこ?」



スマホからはまりあの心配そうな声が聞こえて、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。



こうなったのも全部、陽平のせいだ。



芹沢君だって、急に居なくなったあたし達を心配してるよね。


それとも、2人きりになれるチャンスだと思ってくれてる?



「ごめん、急に家から連絡があって!用事が出来たから先に帰るね。まりあは芹沢君と楽しんで」



「えー、そうなの?用事が出来たんなら仕方ないね」



「うん……。ごめんね、あたし達のことは気にせず楽しんでね」



悪いと思ったけど、とりあえず映画は終わったわけだし。


後は芹沢君が頑張ってくれるはず。



電話を切ると、しばらく公園でぼんやりしてから家に帰った。


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