だから、好きだって言ってんだよ


陽平にとって、昨日のキスはなんでもないことなの……?


なんで話しかけてこれるの?


あたし、ほとんど寝れなかったんだよ?


それなのに、陽平はなんで平然としてられるの?


……ムカつく。


陽平に振り回されっぱなしだなんて。



「はーっ」



トイレに駆け込んだあたしは、鍵を閉めてドアに背中をくっ付けた。



胸に手を当てて鼓動を確かめる。



考えないように努力したって、陽平の顔を見ると嫌でも昨日のことが蘇ってくる。


キスしながら、目を閉じている陽平の顔。


唇に触れるかすかな温もり。



ーードキドキ


ーードキドキ



心臓、めちゃくちゃ速いし……。



なによ。


なんでこんなにドキドキしてんの?


ありえない。


ありえないよ……。



「はぁ……」



やだ、本当に。


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