だから、好きだって言ってんだよ


だけど……。


モヤモヤするのは何でだろう。


陽平はあたしを守ってくれた。


『これからも守ってやる』って、優しい一面を垣間見ることも出来て。


あたしのために本気で怒ってくれた。


見たこともないほどの怒りを露わにして、だけどあたしには優しくて。


あんな姿を見せられて、ドキドキしないはずがない。



「愛梨」



ーードキッ



あたしの心臓は陽平の声にだけ過敏に反応する。


ドギマギして落ち着かなくなって、だんだん体中が熱くなって行くのがわかった。


ダ、ダメだ。



あからさまに視線を彷徨わせて、近付いて来る陽平から目をそらした。



「あ、あたしトイレに行きたいんだった!昼休み終わっちゃうし、行って来るね!」



「えっ?ちょ、愛梨……!?」



困惑するまりあを置いて、逃げるように慌てて教室を出た。




「待てよ」



ーーグイッ


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