だから、好きだって言ってんだよ
教室を出たところで、腕を掴まれて引き止められた。
いつものように、廊下にはたくさんの女子が群がっている。
陽平をちら見しては頬を赤くしている子や、きゃあきゃあ騒ぐ黄色い声がそこら中に響いている。
相変わらず……モテるんだ。
この前までは何とも思わなかったのに、頬を赤らめている女子を見ていると胸が張り裂けそうで。
黒いモヤモヤが心の中を埋め尽くして行く。
なんだか、ムカついた。
陽平はそんな女子たちには目もくれず、なんの反応も示さない。
毎日のことだから、慣れてしまっているんだろう。
「は、離して……!」
「なに怒ってんだよ?」
「べ、別に怒ってなんか……」
「ウソつけ。機嫌わりーじゃん」
「そ、それは……っ」
陽平が女子にモテモテだから。
えっ?
いや、なんでそれであたしが怒るの?
これじゃあ、ヤキモチ妬いてるみたいじゃん。
たまらずに陽平の顔を見上げると、前髪の隙間からキリッとした瞳が覗いていた。
整った顔立ちと掴まれた腕に、ドキドキが激しさを増していく。