だから、好きだって言ってんだよ
それから、さらに1週間が経った。
あれからどこにいても何をしてても、陽平のことが頭の片隅から離れない。
気付くとずっと目で追ってて、まりあにクスクス笑われることも多くなった。
ううん、違う。
好きとかじゃない。
これは……そんなんじゃない。
陽平を好きになるとか、ありえない。
そうやって予防線を張って、好きじゃないと言い聞かせる毎日。
「陽平くん!今日、調理実習でマドレーヌ作ったんだ~!良かったら食べない?」
お昼休みに入ってすぐ、深田さんが男子と戯れる陽平の元にやってきた。
最近の深田さんはすごく大胆で、周りの目を気にせずにこうやって猛アタックを仕掛けている。
その度にあたしは、モヤモヤして落ち着かなくなる。
黒いモヤモヤが大きくなって、深田さんに嫌な感情を抱いてしまっている。
あー。
早く昼休み終わらないかな。
こんな光景、見たくないんだけど。
フられたというのに、めげるどころかまっすぐに向かっていってる姿にものすごくイライラする。
あーあたし、すごく嫌な子になってる。
最低だよね。
深田さんは何も悪くないのに、そんなことを思ってしまう自分に自己嫌悪。
「うわ、うまそ~!」
「俺も俺も!」
「ダメ~!陽平君専用で~す」