だから、好きだって言ってんだよ
マドレーヌを受け取るのかが気になって、まりあと話しながらちらちら陽平を見つめる。
陽平は少し困ったような顔をしていた。
「悪い。俺、洋菓子系苦手だから」
えっ?
「そうなんだ、知らなかった。じゃあ、何が好きなの?」
「ん~……特にねーかな」
困ったように頬を掻く陽平。
周りの男子は「もったいねー!」とか、「あの深田さんからもらえるんだぞ?」なんて言ってブーイングの嵐を送っている。
「じゃあ、お弁当作って来てもいい?食べてくれる?」
「いや、俺好き嫌い多いし」
「お願い……っ!1回だけでいいから」
深田さんは、意地でも陽平に何かを作ってあげたいらしい。
みんなが見てるのに、ここまで出来るのは本当にすごい。
「悪い。ムリ」
そして、断る陽平も……すごいや。
断ってくれて嬉しいと思っているあたしは、本当に最低だ。
嫌な奴だよね。
あたしの視線に気付いたのか、陽平と思いっきり目が合ってしまった。
わ、やばっ。
ドキッとして、とっさに目をそらす。
「も~、愛梨ってば!わかりやすすぎるから」
まりあにクスクス笑われて、頬が赤く染まっていく。