だから、好きだって言ってんだよ


好きじゃないもん……好きじゃ。



あー、本当にあたしって可愛くない。


自分でも嫌になるくらい。



「だって……あたしと陽平は友達だったんだよ?それなのに、いきなり好きになるっておかしいじゃん」



「バカね。好きになるのに理由なんてないんだよ。気付いたら好きになってるもんなの」



「でも……友達を好きになるっておかしいし」



「愛梨の場合はさ、友達の期間が長かったからこれからも友達でいなきゃって思い込んでるだけなんじゃないの?」



「えっ?」



「昨日まで友達だと思ってた相手にドキドキするって、よくあることだよ?ムリに友達でいる必要はないじゃん。自分の気持ちに素直になりなよ」



まりあの言葉が胸に突き刺さる。


あたしは陽平と友達でいたいから、自分の気持ちに予防線を張っていたのかな。



本当は……。



昼休みが終わる10分前、深田さんを振り切った陽平が席へと戻って来た。



深田さんはトボトボ自分の教室へ戻って行く。



それを見てクラスの男子達は残念そうにしてたけど、あたしは正直ホッとしていた。



良かったって。


もう来ないでって。


そんなことを思ってしまった。



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