だから、好きだって言ってんだよ
可愛くない。
自分でもそれはわかってる。
頬が熱いということも。
図星を突かれて、素直になれない可愛くないあたし。
好きだって気付いたけど、当然の如くそんなことは言えないわけで。
あたしは深田さんみたいに可愛い女の子じゃないから、意地を張ることしか出来ない。
まさか、初恋がイジワルな陽平だなんて夢にも思わないんだもん。
「赤くなってるってことは……期待してもいいってこと?」
「……っ!?」
なっ。
「…………」
やめてよ。
本当に。
これ以上ドキドキさせないで。
陽平がどういう意味で言ってるのか突き詰めたくなっちゃう。
手作りのお菓子が欲しいってこと?
それとも……別の何か?
こんな態度を取ってしまう自分も、心底可愛くないと思う。
深田さんみたいに、素直になれたらどれだけいいんだろう。
好きなのに。
ううん、好きだからこそ素直になれない。
強がっちゃう。
今のままの関係が崩れたらって考えると、不安で不安でたまらない。
だからあたしは、素直になれないのかもしれない。
「……そっか、だよな。ありえねーよな」
悲しそうな目であたしを見る陽平。
ーーズキン
胸が痛くて、後悔の気持ちで埋めつくされていく。
「お前には、好きな奴がいるもんな……」
「……え?」
まさか……陽平が好きってバレた?
いや、でも。
そんな感じじゃない。
寂しそうな笑顔だけを残して、陽平は前を向いてしまった。
そんな顔をさせたかったわけじゃないのに、自分から話しかけて何か言うことが出来ない。