だから、好きだって言ってんだよ
そして玄関を出た時。
「よう」
夏の熱い熱気がこもる夕焼け空の下に、陽平が立っていた。
えっ!?
な、なんで……ここに陽平が?
「……っ」
「暗いし、危ないから迎えに来た」
目を見開いたままでいると、頬を掻きながら陽平が一歩ずつ近寄って来た。
全身がオレンジ色に染まって、家の外壁に大きな影が伸びている。
「ぷっ、寝ぐせついてんぞ?」
「え?ウソ」
わー、最悪。
寝てたってバレバレじゃん。
慌てて髪を手で整える。
前までなら寝ぐせくらい何とも思わなかったのに、今は恥ずかしさが込み上げてくる。
「ははっ。そこじゃねーって」
目の前にスッと影が落ちたかと思うと、髪の毛にそっと陽平の手が触れた。
トクンと大きく鼓動が飛び跳ねる。
今が夕焼け空で本当に良かった。
だって、顔が真っ赤なのがバレちゃうんだもん。