だから、好きだって言ってんだよ
花火とプリンを買い込んで、陽平と他愛ない話をしながら上の花公園に向かった。
学校から徒歩5分圏内にあるこの公園は、自然が多くてスポーツなんかも出来ちゃったりする大きな公園だ。
中にある広場では、ゴミを持ち帰ることを条件に花火をしていいことになっている。
大勢で花火が出来る場所といえばこの公園くらいで、学校から近いせいか夜になると先生が見回りに来るっていう話。
うるさかったりすると注意されたり、時間が遅いと怒られるので今のこの時間帯がベスト。
夏の夜。
19時といえば、顔が見えるくらいにはまだ辺りは明るくて。
公園に着くと、すでに来ていたクラスメイト達がいくつかの輪になって談笑していた。
ざっと20人くらいかな。
それでもよく集まった方だと思う。
陽平が来たのを見て、チラチラこっちを見て来る女子が目立った。
あたし達を見た坂上君が、小走りでやって来て意味深にニッと笑う。
「相変わらず仲良し夫婦だな、お前らは」
チャラチャラしているせいなのか、それともお調子者の坂上君の性格のせいなのか。
その笑顔が憎たらしく見えるのはあたしだけ?
言い返そうって気は起きなくて呆れることしかできない。
それでも坂上君は動じることなく笑っていた。