だから、好きだって言ってんだよ


坂上君と一緒にいたら、振り回されっぱなしなんだろうな。


だけど底抜けに明るくていつも笑ってるから、楽しそうな気もする。


だからこそ、陽平と一緒にいられるんだとも思う。



うん、きっと根は良い人なんだろう。


そう思うことにしよう。



「集合ー!」



輪の中心に移動した坂上君は、みんなに向かってそう叫ぶ。



「お前も」



「いたっ」



突然頭に乗せられた手の平に、ビックリして思わず目を見開く。



痛くはなかったけど、とっさに口からそう出た。



「簡単に触られてんじゃねーよ」



ーードキッ



「それと、嬉しそうにしてんじゃねーよ」



え……?


嬉しそうに?



「し、してないし」



ムスッと口を結びながら不貞腐れる陽平を見て、胸がキュンとなった。



もしかして、妬いてる……?


なんて、そんなありえない考えが浮かぶ。



「他の男に隙見せるなよ、バカ愛梨」



「ちょ、やめてよ」



髪を掻き回されて反射的に睨んだ。



だけど陽平はムスッとしたままで、ぐちゃぐちゃにするだけしてあたしから離れて歩いて行く。



もう!


……バカ。


そういうことを言われたら、嫌でも期待しちゃうじゃん。


あたしのことが、好きなのかなって……。


そんな、ありえないことを思っちゃう。



「行くぞ」



「あ、うん」



手ぐしで髪を整えていると、陽平がくるりと振り返った。



もうムスッとはしていないみたいだけど、いつものイジワルな笑顔もない。


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