だから、好きだって言ってんだよ
「お前なぁ、それで誰かがケガでもしたらどうするんだよ?楽しいのが台無しだろーが!」
「大丈夫だって。これでも、ケガしない程度に加減してんだから」
真剣な顔の陽平に、その男子は全く耳を貸そうとしない。
それどころか、着火剤をカチッとやって次のロケット花火に火を灯した。
「おい、いい加減に……」
ーーヒューン
その瞬間、ロケット花火が打ち上がって夜の闇に消えた。
やがてそれは威力を失って、地面にポトッと落ちる。
「危ないだろ?当たったらどうすんだよ」
「当たんねーように上に向けただろ?せっかく楽しんでんのに、邪魔するんじゃねーよ」
その男子は陽平の腕を振り払って、更に次のロケット花火に火を点ける。
「そうだぞ、陽平〜!邪魔すんなよー」
坂上君は楽しそうにまくし立ててる内のひとり。
少しは危機感というものを持って欲しい。