だから、好きだって言ってんだよ


「大丈夫か?どこに当たった?」



「あ、頬をかすめただけ……」



同じようにしゃがみ込んで、陽平は至近距離で顔を覗き込んで来た。



わ。


ち、近い……!


近いよ。



こんな時にドキドキしちゃうあたしは、果てしなくどうしようもない奴だ。



ううっ。


でも、緊張するんだもん。



「ちょっと切れてるな。血が出てる」



あたしの頬に陽平の指が触れた瞬間、ドキッとして体がピクッと動いた。


触れられた場所がジンジン熱い。


真っ暗で良かったって、こんな時なのに思ってしまった。



「大丈夫か?」



「あ……うん」



陽平の方が、あたしよりも痛そうに顔をしかめていて。



知ってるよ。


陽平は優しいもんね。


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