だから、好きだって言ってんだよ


「ほら、火つけてやる」



「あ、ありがと」



それからぎこちないまま花火をした。



でも、心の底からは楽しめなくて。



明らかに変わってしまった空気に、複雑な気持ちが込み上げる。


違うって言ってるのに、どう言ったら信じてもらえるのかな。


悲しいな。



「あ、そうだ!プリン……」



ずっと袋の中に入れっぱなしにしていたことを忘れてた。



「まだ大丈夫だよね?食べれるよね?」



傷んでないよね?


せっかく陽平に買ってもらったのに。



「大丈夫だろ。そんなに時間経ってねーし」



袋の中からプリンを取り出す。



うーん。

生ぬるいけど、多分大丈夫かな。


夜だしね。



「食うんだ?」



「家まで持ちそうにないしね」



今食べなきゃ、傷んじゃうかもしれないもん。



陽平が買ってくれたプリンを、ムダにするわけにはいかない。

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