だから、好きだって言ってんだよ
自転車で汗だくになりながら、隣町にある大きなショッピングモールに向かった。
夏の日差しは容赦がなくて、アスファルトからユラユラ陽炎が揺らめいている。
汗がこめかみを伝い、背中にもたくさんかいた。
夏ってどうしてこんなに暑いんだろう。
嫌になっちゃうよー。
「やっと着いたねー。あー、暑い~」
「早く涼もう!」
自転車を停めて中に入る。
クーラーの涼しい冷気が、火照った体を優しく包み込んでくれた。
「どこから回る?」
「うーん……あ!青田君バスケしてるし、それに関連のある物が売ってるとこがいい!」
「うん。ならスポーツ関連のお店に行ってみる?」
「うん!」
あたし達は3階にあったスポーツ用具とか、ウェアが売ってる専門店に移動した。
そしてミーコはタオルとリストバンドを。
迷いながらもあたしは、ミーコに相談しつつピアスを選んだ。
高校生になってから開けたし、ちょっと大人っぽい物をあげたかったから。
小さな輪っかの、シンプルだけどオシャレなピアス。
一目見て陽平にピッタリだと思ったんだ。
付き合ってもいないのに、ピアスなんて引かれるんじゃないかと思ったけど。
『いいのいいの!高価な物じゃないんだから!』
っていうミーコの言葉に背中を押されて、買うことを決めた。