だから、好きだって言ってんだよ


自転車で汗だくになりながら、隣町にある大きなショッピングモールに向かった。



夏の日差しは容赦がなくて、アスファルトからユラユラ陽炎が揺らめいている。



汗がこめかみを伝い、背中にもたくさんかいた。



夏ってどうしてこんなに暑いんだろう。


嫌になっちゃうよー。



「やっと着いたねー。あー、暑い~」



「早く涼もう!」



自転車を停めて中に入る。



クーラーの涼しい冷気が、火照った体を優しく包み込んでくれた。



「どこから回る?」



「うーん……あ!青田君バスケしてるし、それに関連のある物が売ってるとこがいい!」



「うん。ならスポーツ関連のお店に行ってみる?」



「うん!」



あたし達は3階にあったスポーツ用具とか、ウェアが売ってる専門店に移動した。




そしてミーコはタオルとリストバンドを。



迷いながらもあたしは、ミーコに相談しつつピアスを選んだ。



高校生になってから開けたし、ちょっと大人っぽい物をあげたかったから。



小さな輪っかの、シンプルだけどオシャレなピアス。



一目見て陽平にピッタリだと思ったんだ。



付き合ってもいないのに、ピアスなんて引かれるんじゃないかと思ったけど。



『いいのいいの!高価な物じゃないんだから!』



っていうミーコの言葉に背中を押されて、買うことを決めた。


< 195 / 303 >

この作品をシェア

pagetop