だから、好きだって言ってんだよ
喜んでくれるかな……?
渡す時、すっごく緊張するな。
っていうか、いつ渡そう?
家に押しかける?
いや、そんな勇気はないよ。
「あー、疲れたー!ちょっと休憩しよう」
「うん!喉渇いたね」
ミーコの提案に乗り、2人でフードコートを目指して歩いた。
そして、ちょうどエスカレーターに乗った時だった。
ふと振り返ったあたしの目に、見覚えのある後ろ姿が映ったのは。
「えっ?陽平?」
明るいブラウンのふわふわの髪と、大きくて広い背中。
背丈や雰囲気も陽平そのもの。
「えっ?どこどこ?」
「あそこ」
「ホントだ」
何してるんだろう?
陽平はさっきまであたし達が居たフロアから、エスカレーターに背を向けて遠ざかって行く。
ダボッとしたジーンズに白のポロシャツ姿。
エスカレーターで上がって行くあたし達には、まったく気付かない。
「話しかけて来れば?」
「な、い、いいよ!誰かと来てるのかもしれないし」
「えー、いいじゃん!ついでにソレ渡して来なよ~!」
「ま、まだ誕生日も来てないのに渡せないよ」
そんなやりとりをしていたその時。
ーードクッ
陽平に向かって駆け寄る人を見て、心臓が大きく音を立てた。
小走りで陽平に近付いたのは深田さんだった。
ほんのりピンク色に染まる頬と潤んだ瞳。
女の子らしいワンピースを着てニッコリ笑う深田さんは、女の子らしくてすごく可愛い。
なんで陽平と深田さんが……?