だから、好きだって言ってんだよ


「なんでもっと早く言ってくれないのー?」



「なに言ってるの。ずっと呼んでたわよ」



「うそだ~!聞こえなかったよ~!あー、間に合わないかも」



未だ呆れ顔を見せるお母さんに、あたしは半泣き状態。


わー、ホントヤバいよ。



「入学式早々遅刻するとか、ありえないから!」



「なに言ってるの、もっと早く起きないからでしょ」



起きてたよ!


起きてたけど……っ。



どうしよう。


ダッシュで行っても間に合わないかも!



「お母さんのバカ~!」



お母さんのせいではないけど、ついついグチをこぼしちゃう。



赤のチェックのプリーツスカートのヒダをサッと手で整え、首元のリボンをまっすぐする。



そしてベージュのブレザーを羽織って襟元を直すと、茶色のカバンを持って階段を駆け下りた。



「こけるわよー!」



なんてお母さんが叫んだ声もムシして、玄関まで一目散。



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