だから、好きだって言ってんだよ


半ば強引に陽平の家の前まで連れて来られた。



「じゃあうちらは退散するから、後は1人で頑張ってね!」



「えっ?」



待ってよ。



「一緒に居てくれるんじゃないの?」



すがるような目で見ていると。



「何言ってるの!1人で戦うべきだよ!うちらがいたら邪魔だもん」



「頑張ってね」



えっ?


えー!



1人でとか、絶対ムリなんですけど!



心の叫びが2人に届くはずもなく、どんどん遠ざかって行く背中をポカンと見つめることしか出来ない。



ど、どうしよう……。


本当に。


どうしたらいいんだろう。



1人になると途端に不安が押し寄せた。



住宅街の中、陽平の家の前で立ち尽くす。



不審者に思われてないかな。


さっきから、通り過ぎる人に変な目で見られている。


絶対、不審者に思われてるよね。



ーーガチャ



……!?



げっ!


やばっ!



いきなり玄関のドアが開いて、中から陽平が出て来た。


無造作にセットされた茶色の髪が、陽に透けてすごく綺麗。



「えっ?愛梨!?なんで……ここに?」



「あ、いや……っ!これは……っその」



ビックリしすぎて、うろたえまくるあたし。



陽平は眉を寄せて怪訝な顔をしている。



うわー、明らかに変に思われてる。

そりゃそうだよ、家の前に立ってるなんて。


普通はしないよ、そんなこと。



う、うまく誤魔化さないと!!


< 203 / 303 >

この作品をシェア

pagetop