だから、好きだって言ってんだよ
「えっと、あのっ……。あ、そう!偶然!偶然通りかかったの!それで……陽平いるかな~って!」
焦りまくりのあたしは、しどろもどろになりながらなんとかうまく誤魔化した。
「はは、怪しすぎだろ!いきなり立ってるから、マジでビビった」
「ご、ごめん」
納得してくれたのか、陽平はそんなあたしをケラケラ笑っている。
いつものイジワルな笑顔。
だけど嫌な気持ちになることはなくて、今はその笑顔に胸が締め付けられて苦しい。
好きっていう気持ちが、どんどん大きくなっていくみたい。
「あ、どっか行くの?」
ジャージじゃなくて私服姿の陽平に問いかける。
「あー……うん。ちょっと」
あからさまに言葉を濁した陽平は、気まずそうに目を伏せた。
何かあるって丸わかりだし、かなり怪しい雰囲気。
ズキッと胸が痛む。
まさか……深田さんとデート、とか?
なんて嫌な考えが浮かんだ。
女の勘っていうか。
なんとなくだけど、こういう時の悪い予感って大体当たる。
「そっか。一緒に行ったらダメ?」
「あー……悪い。男ばっかだし。また連絡するから」
「そっか。わかった」
申し訳なさそうな顔であたしに断ると、陽平は逃げるように行ってしまった。