だから、好きだって言ってんだよ


男ばっかだし……か。


ねぇ陽平、ウソだって丸わかりだよ。


だって陽平は、ウソを付く時人の目を見ない。


明らかに挙動不審になるから、ウソだってすぐにわかった。



本当は違うんだよね。


ウソ、なんだね。


深田さんと会うの……?



ウソまで付いて。


それなら、ちゃんと言ってくれても良かったのに。



結局、聞きたいことは何も聞けなかった。


言えないことも言えなくて、さらに自己嫌悪に陥る。


何やってんだ、あたし。


……はぁ。



「ただいま……」



暗い気持ちのまま玄関のドアを開けると、キッチンからお母さんがパタパタと小走りでやって来た。



「おかえり、ちょうど良かった!光太が風邪引いて熱を出しちゃって……。悪いけど、ゼリー買って来てくれない?」



お母さんが困った顔であたしを見る。



「え?大丈夫なの?病院は?」



「さっき行ったんだけど、夏風邪だって。帰りに買って行こうかと思ったんだけど、あまりにもぐったりしてるからどこにも寄れなくて。ゼリーなら食べれるって言うから、お願い出来ない?」



「わかった、行って来るよ」



可愛い光太のためだもんね。


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