だから、好きだって言ってんだよ


光太、大丈夫かな。


体は小さいけど、元気だけが取り柄の可愛い光太。



よーし、光太の好きなりんごゼリーを買って来てあげよう。



光太の好きなゼリーはコンビニには売ってないから、スーパーまで行かなきゃならない。



陽平と花火を買ったスーパーまで来たあたしは、デザートが置いてある棚を目指した。



夕方だからなのか、お惣菜が割引きになってたり、主婦や学生達で結構混雑している。



「あった、これこれ」



光太が好きなりんごゼリーと、あたしはヨモギプリン。



お母さんにお許しをもらったから、それを持ってレジへ向かう。


お会計を済ませて、スーパーを出た時。



!?


道路を挟んだ向かい側の歩道に、陽平の姿を見つけた。



えっ……?


あれ、は。


深田、さん……?



陽平は笑顔を浮かべながら、深田さんと並んで歩いていた。


ズキズキと痛む胸。



やっぱり……。

深田さんと会ってたんだ?


男子ばっかりだって言ってたくせに。



ウソつき。


ウソつき!


ウソ、つき……!



胸が痛くてどうしようもない。



これ以上陽平の楽しそうな顔を見ていたくなかったあたしは、ダッシュで家まで帰った。

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