だから、好きだって言ってんだよ
「吉崎さん?」
夏休みも残すところ1週間を切ったある日のことだった。
暑さに耐えられなくてコンビニにアイスを買いに行った帰りに、偶然出くわした深田さんに声をかけられた。
「ど、どうも」
向こうも1人で、あたしを見るなりニッコリ微笑んだ。
なんか、やだな。
今は会いたくなかった。
幸せそうに笑う顔を見て、心の中がモヤモヤする。
「今ね、塾の帰りなの。少し話せない?」
笑顔を崩さずに、深田さんは言う。
オシャレで可愛くて、髪の毛の1本1本までが綺麗に手入れされている。
あたしだってそれなりにオシャレはしているけど、天然の可愛さを持つ深田さんにはなんだか負けた気になってしまう。