だから、好きだって言ってんだよ


放課後になったのを見計らって、トボトボ教室に戻った。



廊下や教室には静けさが漂っている。



ーーガラッ



ドアを開けて中に入ると、そこにはもう誰もいなかった。



……帰ろう。


宿題とか出しそびれちゃったから、職員室に寄って。



「愛梨」



机の横にかけたカバンを持った瞬間、聞き覚えのある声が背後から聞こえてビクッとした。



振り返るとそこには、ドアに持たれかかるようにして立っている陽平の姿。



な、なに?



「帰ったんじゃなかったの?」



っていうか、あたしなんかを待ってる場合じゃないでしょ?


深田さんは?


って、こんな風に思っちゃうあたしはホントに可愛くない。


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