だから、好きだって言ってんだよ


ーーキーンコーンカーンコーン



そうこうしている内にチャイムが鳴って、担任の先生が教室にやって来た。



簡単に入学式の説明を受けた後、出席番号順に2列に廊下に並ばされる。


あたしは『吉崎』なので一番後ろ。


しかも、隣には陽平の姿。



これから始まる入学式と新生活に、みんなソワソワして緊張した面持ちをしている。


今日から始まるんだと、改めてそれを実感させられた。


それにしても……。



「はぁ」



代わり映えのしない光景に、軽くため息を吐き出す。


なんで隣にいるのが陽平なの?



あーあ。


なんでミーコと一緒じゃなかったんだろう。


陽平と一緒なんて、本当ツイてないよ。



「なに?俺に見惚れてた?」



クスッと笑って、あたしを横目に見て来るイジワルな陽平。


その横顔はキリッとしてて、認めたくないけどカッコ良い。



「なわけないでしょ!陽平に見惚れるとか、絶対にナイから!」



寝言は寝て言えって感じ。


地球がひっくり返ってもありえないっての!

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