だから、好きだって言ってんだよ
陽平はまっすぐにあたしを見ている。
窓から入って来る風に、ふわふわの茶色い髪が優しく揺れた。
だけど、前髪の隙間から覗く陽平の目はヒヤッとするくらい怖くて。
静止したまま、動くことが出来ない。
「お前、芹沢が好きなんじゃなかったのかよ?」
「ち、違うよ……」
陽平は眉をピクリと動かしただけで反応はない。
ただ、その目はめちゃくちゃ冷たかった。
「坂上に乗り換えた、とか?なんなんだよ、マジで。どんだけ振り回せば気が済むわけ?」
もはや、何を言っているのかわからない。
乗り換えた……?
なにそれ。
わけわかんないよ。
あたしは芹沢君を好きだなんて一言も言ってない。
それなのに……。