だから、好きだって言ってんだよ
不意打ちの告白
入学式から1ヶ月が経過した。
あれほど意気込んでいたにも関わらず、運命的な出会いはやって来ないまま5月に突入。
クラスでも王子様みたいな人はいるといえばいるけど、席が離れているせいか一度も話したことはない。
カッコ良いけど、好きまではいかないっていうか。
こればっかりは話してみなきゃ、どんな人かもわからないしね。
「きゃー、陽平く~ん!」
「こっち向いて~!」
「超カッコ良いー!」
黄色い声にうんざりしながら、机に肘を付いてまりあの方に体を向けて座るあたし。
おかしい。
絶対におかしい。
なんでこんなことになってんの?
ありえない。
そりゃ奴がモテることは知ってたけどさ。
「愛梨、すっごい怖い顔してる~!」
あたしとは正反対に、キラキラした笑顔を浮かべるまりあ。
まりあの笑顔を見てると癒されるけど、今回ばかりは違う。
「だって、ありえないことが起きてるんだよ?」
廊下にいる陽平のギャラリーをチラッと見て、すぐその後にまたまりあの顔を見る。
中学の時はここまでじゃなかったのに、いったいこの人気っぷりはナニ?