だから、好きだって言ってんだよ


なんで陽平がこんなにモテてんの?


ファンがいんの?


アイドル並みなの!?



廊下から聞こえる黄色い声に、思わず耳を塞ぎたくなった。


みなさん、ダマされてますよー!


本性はただのイジワルなんだよー!


大声でそう叫びたい気持ちに駆られる。



「だって、陽平君カッコ良いじゃん。騒ぐ気持ちわかるな~!」



「…………」



この際まりあの言葉はスルーしよう。


どちらかというと、まりあも陽平ファンだしね。



「あたしはもっと優しい人がいいよ。爽やかで、王子様みたいな人が理想だもん」



あたしだけに優しくしてくれて、大人っぽくて温かく包み込んでくれるような包容力のある人がいい。



「それって、芹沢君みたいな人のこと?」



まりあの視線が、窓際に立ってフワリと優しく笑う芹沢 晃(せりざわ あきら)君に向けられる。



サラサラの黒髪に優しい眼差し。


いつもニコニコしてて穏やかな芹沢君。



カッコ良いというよりも、綺麗な顔立ちをしている彼。


そう。


まさしく、彼がこのクラスの王子様。

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