だから、好きだって言ってんだよ
慣れない教室の前まで来ると、後ろのドアから恐る恐る中を覗いた。
教室内には、まだたくさんの生徒が残っている。
だけど、深田さんの姿はどこにも見当たらない。
もしかして、もう帰っちゃったのかな。
他のクラスはただでさえ緊張するのに。
「吉崎さん?」
「え?あ……」
深田、さん。
振り返ると、深田さんが驚いたような顔で立っていた。
ゴクリと唾を飲み込む。
いざとなると、すごく緊張して手に汗を握る。
「ちょっと待ってね。カバン取って来るから」
あたしの表情から何かを察したのか、何も言ってないのに深田さんは教室の中に入って行った。