だから、好きだって言ってんだよ
その場から動こうとしない深田さん。
なぜかあたしまで硬直したように固まってしまって動けない。
重苦しい沈黙が苦しい。
「はぁ。なーんてね……」
深田さんは短いため息を吐いた後、悲しげに笑った。
その目は潤んでいて、なぜか胸が締め付けられる。
「それが本当だったら、どんなに良かったか」
えっ……?
「陽平君と付き合ってるっていうのは、ウソだよ」
「…………」
「あはは、引いた?」
乾いた笑いが響く。
深田さんは顔を隠すように、あたしに背を向けた。
「……なんで、そんなウソを」